Loading

|BOOKS|

旅するマネキン師 [2024/11]

書名:旅するマネキン師
Les Voyages de Monsieur Mannequin
著[写真・文]:藤田 一咲
出版社:Editions Mosaïque
発売年月:2024/11
定価:2,000円
ページ数:98p
サイズ:A5 21×15×1cm
*電子書籍・-

●本書のご購入
当サイトのコンタクトから



旅するマネキン師とは
本書は藤田一咲が2023年、2024年に撮り下ろし、一部をSNS等に発表していた作品を2024年12月の京都写真美術館での同名の写真展開催に合わせて制作された。
内容はマネキンたちとともに暮らす男が、チンドン屋、手品師、アイス売り、的屋などをしながら各地を転々と旅する様子をドキュメンタリータッチで撮影したもの。だがもちろん、マネキン師という職業や呼称は存在しない。「旅するマネキン師」とは私が考え出した架空の職業と、肩書きを持つある男の物語だ。

マネキンを死者、あるいは単に物体、また女性やその化身と見ることで、生者であるマネキン師と対比、また並べることで、生と死、冥界と現世、時間、有と無、美と醜、事実と虚構、真実と虚偽、現実と幻想、愛、夢、現在と追憶、存在、自由などについて想いを巡らせることもできる。

しかし、私がこの作品集に込めたものは、フィルム時代の写真史に名を残す先人への憧憬や尊敬、感謝の気持ちだ。そこには私の敬愛する写真家たちのスタイルのあからさまな踏襲・引用も含まれている。フィルムがデジタルに置き換わって久しいが、私にはフィルム時代の写真が持つ人間臭さが大好きで忘れられずにいるのだ。いわばこの作品はかつての、あの古き良き時代の写真の感覚を懐かしみ、楽しみたいという老人の懐古趣味、写真遊びなのだ。とはいえ、私は伝統的な手法で昔話をするつもりはない。撮影はデジタルであり、カラーグレーディングなど現代的な手法もふんだんに施してある。

旅するマネキン師は半世紀前の写真用語で言えば「演出写真」だ。演出写真については、この用語が広く使われ始めるとほぼ同時に「写真は真実を写すものであり非演出であるべき」という批判が起こり、それは今日の、写真を見る人、撮る人においても少なくない。この作品はそういう人たちへの、写真表現についてのさまざまな問いかけを込めてもいる。

本書の後書きから

マネキン師は岡山県在住の中塚ヤスヒロさんが演じている。

    PAGE TOP